2009年 02月 02日
ピークオイルについてのさまざまな見解(1) |
ピークオイルについては、おすすめの資料がいくつかあります。
いろいろじっくり読み比べてみると、
より原油の生産現場から近い人たちほど悲観論。
(産油国のトップや世界的石油会社のトップ、顧問学者など)
遠い人たちほど楽観論。
という傾向があるかも・・・なんて気もしてきました。
まず、どなたにでもおすすめできるのが、こちらのマンガ風の資料。
http://www.peakoilandhumanity.com/language_japanese/JA_table_of_contents.htm
とてもわかりやすいので、一度見てみてください。
文章で読みたい方は、
こちら(トランジションタウンの手引書です)の2〜4ページをどうぞ。
http://www.transition-japan.net/transition/primer.pdf
一部抜粋してみます。(ちょっと難しいです)
(前略)ピーク・オイルが工業社会にどれほど大きな影響を与えるか理解するために、2005年に米国政府の危機管理および石油分析の専門家によって作成されたレポートの要約の冒頭部分をここに示します。
「全世界の石油生産高がピークを迎えることは、米国と世界に空前のリスク管理上の問題をもたらすでしょう。ピークが近づくにつれ、液体燃料価格と価格の不安定性が劇的に上昇します。そして適切な時期に緩和策が提示されなければ、経済的、社会的、政治的コストは、これまでにない高額なものとなるでしょう。実行可能な緩和策は、供給側と需要側の両方に存在しますが、それらに大きな実効力を持たせるには、ピークに達する10年間以上前から開始する必要があります。」
『Peaking of World Oil Production: Impacts, Mitigation & Risk Management(世界の石油生産高のピーク:その影響、緩和策、およびリスク管理)』”Robert L. Hirsh, SAIC
米国政府によって1年近く隠蔽された後、このレポートはようやく明るみに出ました。大規模な影響を持つレポートの内容を熟読すれば、なぜ政府がやっきになって公の場からこのレポートを閉め出していたのかが明らかになります。
政府、政府機関、石油会社が問題の存在を否定しようとも、シェブロンもトータルも、現在が安い石油の終焉期にあたることを認めています。
BP(イギリス石油会社)の石油担当チーフ エンジニアを務めたジェレミー・ギルバートは、2007年5月に次のように警告しています。
「ピークは2015年より以前に来ると見ています。…そしてそれ以降は年4~8%の割合で減少していくでしょう」 (後略)
日本の大企業やマスコミがピークオイルをどう考えているか知りたい方は、
ピークオイルと石油の未来 -ハバート曲線から-(みずほ情報総研)
http://www.mizuho-ir.co.jp/column/kankyo070109.html
<以下一部抜粋>
(前略)ハバート曲線はしばしば「悲観的」と形容されるが、これは長い時間かけて徐々にエネルギー源が代替されるというある意味楽観的な予測かもしれない。経済が停滞して需要が減るのかもしれないが、ハバート曲線自体は何が起こったのかを教えない。仮に需要に合わせて生産が増えていけば、準備期間なく急激に資源が不足するイースター島型の破局シナリオも描ける。従って、ピークが後ろにずれるということが「楽観的」であるわけではない。問題は人間の対応なのである。(中略)
ハバート曲線とピークオイルは自然の摂理でも、証明すべき科学的な仮説でもない。むしろ、資源の需要と供給の関係に人間がどう振舞い選択すべきかを検討する基本的な枠組みと考えるべきである。この曲線が正しいのか、これに基づいて将来予測できるのかを議論することよりも、資源が減退期であるという現実認識の元に、技術・経済・環境・社会のあり方に何が起きていて、今何をすべきかを考えることが重要である。
「ピークオイル説」本当?(朝日新聞)
http://www.asahi.com/strategy/0604c.html
<以下一部抜粋>
近い将来、世界の石油生産はピークに達して、その後は下り坂に転じる。近年、そんな「ピークオイル説」が浮上している。採掘可能な原油埋蔵量が2030年代に、場合によってはもっと早い時期に頭打ちになるという予測だ。賛否両論があって結論は見えないが、最近の原油高騰の一因となっている。(中略)
供給量の限界は、資源の枯渇というより、採掘や精製への投資が十分ではないという側面がある。ヤーギン会長は、石油の安定供給のためには、「長期的な投資による開発と技術革新、健全な市場の維持が重要だ」と指摘する。
2030年以前には、世界はピークオイルには直面しないだろう。国際エネルギー機関(IEA)は様々な情報を分析したうえでそう判断しているが、今後とも賛否両論のぶつかり合いが原油価格に影響を与える場面がありそうだ。(ワシントン・西崎香、野嶋剛)
この2つの記事を比べてみると、
みずほ銀行の方が真剣に考えていて、
朝日新聞の方は平易に説明しようとしている点はいいとしても、
考察が浅く、ずいぶんのんきに構えているような印象です。
やはり傾向としては、
ピークオイルへの正しい理解は世界的に経済界の方が先んじていて、
政府系・マスコミ系は遅れをとっているような気がします。
いろいろじっくり読み比べてみると、
より原油の生産現場から近い人たちほど悲観論。
(産油国のトップや世界的石油会社のトップ、顧問学者など)
遠い人たちほど楽観論。
という傾向があるかも・・・なんて気もしてきました。
まず、どなたにでもおすすめできるのが、こちらのマンガ風の資料。
http://www.peakoilandhumanity.com/language_japanese/JA_table_of_contents.htm
とてもわかりやすいので、一度見てみてください。
文章で読みたい方は、
こちら(トランジションタウンの手引書です)の2〜4ページをどうぞ。
http://www.transition-japan.net/transition/primer.pdf
一部抜粋してみます。(ちょっと難しいです)
(前略)ピーク・オイルが工業社会にどれほど大きな影響を与えるか理解するために、2005年に米国政府の危機管理および石油分析の専門家によって作成されたレポートの要約の冒頭部分をここに示します。
「全世界の石油生産高がピークを迎えることは、米国と世界に空前のリスク管理上の問題をもたらすでしょう。ピークが近づくにつれ、液体燃料価格と価格の不安定性が劇的に上昇します。そして適切な時期に緩和策が提示されなければ、経済的、社会的、政治的コストは、これまでにない高額なものとなるでしょう。実行可能な緩和策は、供給側と需要側の両方に存在しますが、それらに大きな実効力を持たせるには、ピークに達する10年間以上前から開始する必要があります。」
『Peaking of World Oil Production: Impacts, Mitigation & Risk Management(世界の石油生産高のピーク:その影響、緩和策、およびリスク管理)』”Robert L. Hirsh, SAIC
米国政府によって1年近く隠蔽された後、このレポートはようやく明るみに出ました。大規模な影響を持つレポートの内容を熟読すれば、なぜ政府がやっきになって公の場からこのレポートを閉め出していたのかが明らかになります。
政府、政府機関、石油会社が問題の存在を否定しようとも、シェブロンもトータルも、現在が安い石油の終焉期にあたることを認めています。
BP(イギリス石油会社)の石油担当チーフ エンジニアを務めたジェレミー・ギルバートは、2007年5月に次のように警告しています。
「ピークは2015年より以前に来ると見ています。…そしてそれ以降は年4~8%の割合で減少していくでしょう」 (後略)
日本の大企業やマスコミがピークオイルをどう考えているか知りたい方は、
ピークオイルと石油の未来 -ハバート曲線から-(みずほ情報総研)
http://www.mizuho-ir.co.jp/column/kankyo070109.html
<以下一部抜粋>
(前略)ハバート曲線はしばしば「悲観的」と形容されるが、これは長い時間かけて徐々にエネルギー源が代替されるというある意味楽観的な予測かもしれない。経済が停滞して需要が減るのかもしれないが、ハバート曲線自体は何が起こったのかを教えない。仮に需要に合わせて生産が増えていけば、準備期間なく急激に資源が不足するイースター島型の破局シナリオも描ける。従って、ピークが後ろにずれるということが「楽観的」であるわけではない。問題は人間の対応なのである。(中略)
ハバート曲線とピークオイルは自然の摂理でも、証明すべき科学的な仮説でもない。むしろ、資源の需要と供給の関係に人間がどう振舞い選択すべきかを検討する基本的な枠組みと考えるべきである。この曲線が正しいのか、これに基づいて将来予測できるのかを議論することよりも、資源が減退期であるという現実認識の元に、技術・経済・環境・社会のあり方に何が起きていて、今何をすべきかを考えることが重要である。
「ピークオイル説」本当?(朝日新聞)
http://www.asahi.com/strategy/0604c.html
<以下一部抜粋>
近い将来、世界の石油生産はピークに達して、その後は下り坂に転じる。近年、そんな「ピークオイル説」が浮上している。採掘可能な原油埋蔵量が2030年代に、場合によってはもっと早い時期に頭打ちになるという予測だ。賛否両論があって結論は見えないが、最近の原油高騰の一因となっている。(中略)
供給量の限界は、資源の枯渇というより、採掘や精製への投資が十分ではないという側面がある。ヤーギン会長は、石油の安定供給のためには、「長期的な投資による開発と技術革新、健全な市場の維持が重要だ」と指摘する。
2030年以前には、世界はピークオイルには直面しないだろう。国際エネルギー機関(IEA)は様々な情報を分析したうえでそう判断しているが、今後とも賛否両論のぶつかり合いが原油価格に影響を与える場面がありそうだ。(ワシントン・西崎香、野嶋剛)
この2つの記事を比べてみると、
みずほ銀行の方が真剣に考えていて、
朝日新聞の方は平易に説明しようとしている点はいいとしても、
考察が浅く、ずいぶんのんきに構えているような印象です。
やはり傾向としては、
ピークオイルへの正しい理解は世界的に経済界の方が先んじていて、
政府系・マスコミ系は遅れをとっているような気がします。
by marujunx
| 2009-02-02 21:01
| ピークオイルについて